多層キバン
■ 全般
最近は、多層基板もずいぶんと安くなりました。 電源ラインとGNDラインを内層にもってくると パターン設計が大変楽になります。 また ノイズ
にも強くなります。
■ 4層基板設計要領
4層基板の場合、普通は2つの内層を電源とGNDにします。 以下に 電源ラインとGNDラインを内層にもってきた 4層基板の設計要領について説明します。
@ BPFファイルは K2CADをダウンロードするとついてくる4層用の4sou_K2CAD.bpfを使います。
A GNDは レーヤーNo 10 の”内層 GND層” を使い、電源は レーヤーNo 23 の ”内層 電源層”を使います。
この2層は デフォルトではネガとなっています。すなわち 何もパターンをひかない状態ですべてベタ(全面導電接続)の状態となっています。
(参考:内層をネガにするカポジにするかは、BPFファイルの[WIRE_VIA_LAYER]の項目で設定されています。)
B 2層、3層がネガ層に指定してあれば、ビアの修正で、2層、3層でチェックボックスが出てきますので 2層、3層に接続したい場合はチェックをいれる
だけてその層に接続できます。 更に素晴らしいことにスルーホールとの接続部分がベタで接続するのではなくサーマルランドでの接続となります。したがって
ハンダ不良を心配してサーマルランドに変更する必要はありません。
(注)サーマルランド: 導体面積の広いパターンに接続される部品のリード線をはんだ付けする際に、熱が逃げハンダ温度低下によるハンダ不良を
防止するために用いるスリットのあるランド。
部品U1の 端子2を ”内層 GND層”に接続する要領を下記に示します
表示レーヤー 部品面 シルク図形 部品面 文字 部品記号 部品面 レジスト 部品面 パターン 内層 GND層 |
表示レーヤー 内層 GND層 |
|
@ 端子2の近くにビアを配置します。 | ![]() |
![]() クリアランスランド |
A 端子2とビアをパターンで接続後、 ビアを修正します。 |
![]() |
![]() クリアランスランド |
B ビア編集ダイアログがあらわれます。 | ![]() |
![]() クリアランスランド |
C 2層(LAYER=10)のチエックボックスに チェックを入れます。 |
![]() |
![]() クリアランスランド |
D OKボタンをクリックすると レーヤーNo 10にサーマルが 描かれ、端子2と2層(レーヤー No10 内層 GND層)が接続されました。 |
![]() |
![]() サーマルランドに変化 |
C CAMデータの出力は両面キバンの場合と若干ことなります。
操作 | ダイアログ | 備考 |
CAMデータ出力のダイアログが あらわれたらフォトデータを出力 する前に Tコード自動割り付けに チェックを入れ、ドリルデータを出力 します。 |
![]() |
![]() Tコード自動割り付けにチェックをいれて ドリルデータを出力しないで 先にフォト データを出力しようとすると"Tool File cannot open"の警告が出てフォトデータは 出力されません。 |
実行ボタンをクリックすると フォトデータが出力されます。 |
![]() |
D 基板エッジに内層の銅箔が出てくると、ショートや腐食が発生します。 この予防対策として以下を実施します。
GND層や電源層等のネガ層のレイヤには外形と同じラインを2mm幅ぐらいのタレットで入力し、内層の外周から銅箔を除去します。普通は外形レイヤから
レイヤコピーした後でタレットを20に変更してこれを実施します。 こうすると キバンの外形の内側1mmに銅箔がなくなり キバンの切断加工に伴う
銅箔のバリによるショートや腐食不具合を予防することができます。
■ 多層キバンにおける部品設計の注意点
多層基板で使用する部品の注意点として 部品に中に穴がある場合その近傍(1mm程度)はパターンが無いようにしておく必要があります。
K2CADの標準のビアを使って部品をつくる場合は 穴の周りの内層にパターンのないクリアランスが自動的に確保されますが、自分で穴をつくった場合は
必ず自分で内層にクリアランスを確保する必要があります。 この内層でのクリアランスを確保しないと下記不具合が発生します。
@ 内層と部品面やハンダ面間 及び内層間のショートが発生しやすいキバンが製作されてしまう。
A 逆ネットリストを作成すると 内層と部品面やハンダ面間 及び内層間がショートされた逆ネットリストが出力される場合がある。
(ショートが現れるか否は K2CADの演算部位、計算誤差 及び精度等が関係しているように思われる)
→ 多層基板用部品設計例
■ 信号線の配線
・ GND層や電源層に 信号線等の異電圧回路を配線することは可能です。電圧にもよりますが沿面距離は十分(少なくとも0.5mm程度)とりましょう。 ネガですので
パターンを描いた部分が絶縁体部分となることに十分注意してパターン設計する必要があります。
■ 4層BPFファイルで設計した部品の2層キバンでの使用
4層BPFで作成した部品は 2層キバンでは使用してはいけません。 4層で作成した部品を2層でつかう場合は 4層BPFで開き部品分解して 内層オブジェクトを削除後
ファイルを閉じた後 再び2層BPFで開き部品化する必要があります。
4層BPFファイルで作成した 内層のある部品を 2キバンで使用すると内層のオブジェクトが半田パターンレーヤーにあらわれてきたりします。 以下、参照
結果 | ||
4層BPFで作成した部品を 4層キバンで用いた場合 |
設計通りの部品がキバンに作成される。 紫いろのドーナツ状のリングx2個は 内層(電源層)に描かれて |
![]() |
4層BPFで作成した部品を 2層キバンで用いた場合 |
内層(電源層)が半田パターンレーヤに あらわれてしまう。 ドーナツ状のリングx2個はハンダ パターンレーヤに移動しているため 赤色に変わっています。 |
![]() |
<追記>
内層キバン 設計エラー(例)
内層キバンは、ネガになっていることからパターンの中にパターンが入ってしまうと 逆ネットリストが正しく出力されません。
以下は、内層 電源層を +5V系と+3.3V系に分離して用いた例です。 大部分が+3.3V系で 幅0.5mmで囲った部分が +5V系です。
修正前パターンでは、左下でパターンがパターンの中に入っているために 逆ネットリストを出力すると +5V系と+3.3V系がショートした
逆ネットリストが出力されてしまった実例です。 他山の石としていただければ幸いです。
パターン図 | 不具合内容 | ||
修正前の パターン |
全体図 | ![]() |
逆ネットリストを出力すると +5V系と+3.3V系がショート した 逆ネットリストが 出力されてしまう |
部分拡大 (左下部) |
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修正後の パターン |
全体図 | ![]() |
逆ネットリストを出力すると +5V系と+3.3V系は 電気的に分離されて出力 される。 |
部分拡大 (左下部) |
![]() |